国家秘密警察 鍵の鍵(1965)/野獣狩り(1973)

東宝アクション!2 @シネマヴェーラ渋谷
(今日観た2本はどちらともソフト化されていないようなのでヴェーラのチラシをもとに簡単な説明)

【国家秘密警察 鍵の鍵】

1965年/カラー/94分/監督:谷口千吉
ウディ・アレン『What's Up,Tiger Lily?』の「日本語版」。トンワン王国で反王政活動を続けるモーア族は、国外追放されたゲゲンを首相とするテロ結社“闇”を結成し、横浜を拠点に、賭博、売春、麻薬取引で大金を稼いでいた。(中略) 若林映子浜美枝、二人のボンドガールの共演に注目!お色気とギャグ要素が盛り込まれた、三橋達也主演によるスパイ・アクションシリーズ第4作。

つっこみどころが多すぎて、ひとつひとつつっこんでいたら話がなにも進展しない*1‥(観客の多くは笑いでつっこんでいた)、アクション映画なのにのどか。
よかったのは、(1)カラーフィルムが褪色して、白黒画面の黒いところが赤くなったような全編セピア(?)の色調(ヴェーラのHPからもらってきた写真(↑)はかなり調整してあると思う‥。ズルい)。無国籍風で不思議な効果が。(2)浜美枝。美人でキュート。今日の「ややキュート賞」受賞。(3)天本英世。今日もマッドサイエンスト。コブラに執着するところとか、なんだか若いわかわいいわ。今日の「ちょうキュート賞」受賞。ぶっちゃけたいしておもしろくないけど、天本英世のおかげで満足感は高かった。

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野獣狩り

1973年/カラー/84分/監督:須川栄三
銀座に巨大ビルを構える米国大手飲料メーカー代理店の社長が、“黒の戦線”と名乗る何者かによって誘拐された。警視庁は大捜査線を敷き、その中にはベテラン刑事の舟木長太郎(伴淳三郎)、そしてその息子の明(藤岡弘)がいた。ほどなくして“黒の戦線”は、社長の命と引き替えにあらゆる要求を突きつけ警察を翻弄するようになる。過激派グループを相手に、親子刑事が生死を賭けた追跡劇を繰り広げる!

去年の今頃だったか、あの人この人のブログで「この映画がおもしろい!」と目にしたものの映画館に向かえず、気になっていた「野獣狩り」。おもしろいといっても藤岡弘*2のアクション映画、カルト映画的なおもしろさでしょ?と斜に構えていたら(すみませんすみません)、始まってすぐ、襟をただして画面に向かいなおすはめに。
なんだこのかっこよさ。
いきなり音楽がカメラワークがスタイリッシュでかっこいいのだけど。‘スタイリッシュ’なんて言葉を、藤岡弘の映画で感じるなんて。予想外でしょ?わたしも驚いた。あまりのかっこよさに混乱。ありえない。銀座でのゲリラロケ(ほんとにゲリラロケ?を銀座で?ほんとに?銀座で??)‥大通りからビルの隙間の通用口まで、縦横無尽に走り回るカメラ。躍動感と一糸乱れぬ感がすごい。藤岡弘という存在も。非日常というかあの濃度の高いルックスも、無国籍感があってよかった。とても同じ国の人間とは思えないのに、日本語をしゃべり舞台は銀座‥(ものすごく不思議なかんじ。藤岡弘には時代感もない)。背が高いんだ足が長いんだ‥(もみあげも長いんだ)。濃い。濃いけど‥(かっこいいというべきか葛藤)‥なんというかよい方向に機能している(かっこいいとはいえなかったらしい)。過激派グループの「革命って死ぬことだろ?」という悲壮で刹那的な思いつめは時代感なのか(きらいじゃないけどやるせない)。藤岡弘と対峙させるためなのか、過激派グループはみんなひ弱そうな細面で、とくに女性メンバーの脚ったら蚊トンボのようで、蚊トンボみたいなのに妙になまめかしい曲線で存在感がありぞっとさせられた。なにはともあれとてもおもしろかった。ひとの話は信じるべきじゃて。
本筋とは関係ないけれど、有楽町周辺での(ゲリラ)ロケなので、当時の街並みが見られるのもたのしい。歩行者天国(でゲリラロケ‥?←気絶)、着物のお嬢さんがいた。洋服娘はサイケ気味。当時の山手線がおもいっきりミドリ色だったことにもかるく衝撃を受けた(あんな色知らない)。いろいろいろいろ、イキイキしてました(伴淳三郎もイキイキ!)。

*1:しかしさすがのわたくしも、ヌマグチのピストルには「何故!?」とこぶしをにぎりしめた

*2:仮面ライダーの記憶は遠すぎて、「さまぁ〜ずの番組でいじられてた人」という印象しかない。ちなみに藤岡弘の次のいじられ役は村西とおる