YAKIIMO/SIMONE WHITE

そんなKの最近のお気に入りは、シモーン・ホワイトの「YAKIIMO」。空耳アワー的にそう聞こえるのか?それにしてははっきり聴こえるけど‥幻聴?心配したけど実際「やきいも」と歌ってた。普段見ているもの・耳にしているものも、ふと視点をずらしたら、こんなふうに感じるのね。世の中って何度体感しても体感しきれないな。

「やきいも」は日本語で、石で焼いたサツマイモのこと。私は1年ほど前に、恋人と日本に行った。下田という小さな港町にいたある夜、私たちは不気味な音、礼拝の呼びかけのような奇妙な歌を聴いた。それは謎めいていた。その後、鎌倉でのライヴを終え、日本の主催者たちと歩いている時に、私たちはまたその声を聴いた。私はすごくわくわくして、声の主を見つけ出すんだと言い張った。主催者たちは面白がっていた。というのもそれはただの焼き芋売りで、冬になるとホクホクのサツマイモを売りながら走っている、珍しくもない軽トラックの男だったからだ。彼らはそこらじゅうにいて、みんな一度聴いたら忘れられない同じ歌を歌う。とはいえ、それぞれ微妙な違いはあって、録音を流すものもあれば、生で歌うものもある。私は列車の駅への道すがら、ずっとその歌を歌い続け、皆を笑わせた。私はそれを題材にして曲を書くんだと言った。1年後、ついに私は曲を書き上げた。この曲は、その飾りのなさとエモーションの中にアルバム全体のテーマを封じ込めていると思う。(→本人による解説)

ほかの曲も静かにみずみずしく美しく、ここちよく胸にせまります。もうすこし季節がすすんだら、うってつけの季節になるね。

やきいも

やきいも