グワシ!楳図かずおです(2009) @下北沢トリウッド

トレードマークは、赤白ボーダーと“グワシ”のポーズ。そのイメージは、楽しくて、思わず微笑んでしまう、愛されキャラ。漫画だけにとどまらず、音楽活動やタレントとしても活動する天才漫画家・楳図かずお…実は、そのプライベートな姿はあまり知られていない。
本作の監督を手掛けた伊藤弘二は「楳図かずお公式サイト」を運営するスタッフのひとり。伊藤曰く、“楳図さんのプライベートな生活や普段の様子は、もっと面白く、楽しい!”そうだ。“あまり知らない楳図さんを映画に撮ってみたい!その姿を日本中の楳図ファンに届けたい!”という想いから、3年前から撮影がスタート。膨大に撮られたテープには、作詞・作曲・振付を手掛けた“まことちゃんダンス”を猛練習する真剣な表情や、日課である五ヶ国語を練習しているリラックスした姿、そしてゼロから設計した“楳図ハウス”に住みたい、という自分の夢のために奔走する“アーティスト”としての姿が写し出される。
監督・撮影・編集:伊藤弘二/音楽:大内勇太/出演:楳図かずお 祖父江慎 竹熊健太郎/2009年/日本/91分 (→HP)

世界が待っていた、楳図かずおのドキュメンタリー。欲をいえば、ワイズマンに撮ってほしかった。というのは嘘だけど、なぜ巨匠からオファーが来ない?でもまあ気心の知れた人じゃないと私生活にカメラを向けさせるなんてイヤだろうから仕方ないか。監督の動機が、「自分は今!楳図先生のオンにもオフにもカメラを向けられる立場にいるんだ!」ということに気付いたから。というのが素敵。実に素晴らしいところに気がついた。グッジョブ(感謝)!
(今日も長いのでたたみます)
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映画は、楳図初心者が見ても楽しめるように、との配慮から、あまり深く作品につっこんだ話はなく。関係者の方から、マスト作品や、子供の頃楳図漫画がどんなにこわかったか思い出をうかがう程度なのだけど。ここがもうれつにおもしろかった。祖父江慎が超まことちゃんを語るところ、祖父江慎竹熊健太郎両氏が、「こどもの頃どんなに楳図漫画がこわかったか」を語るところは必見と思う。
07年から09年までの記録ということで、楳図邸建設であれこれつらかっただろう時期の記録でもあるのだけれど。気配りの楳図先生は、特にそんな様子をおくびにも見せまないし(泣ける)、編集でヘンに感動的にしないのもまっとうでよいな。愛ある観察記。ぜひ次作や次々作を作ってほしいです。
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初日ということでイベントがありました*1。楳図まつりではおなじみの夫婦烏(ヨシコのぞく)のミニライブと伊藤監督と金子デメリントークショー
トークショーでおもしろかったのは、映画を観ていて「なんかこのシーン‥。やけに長いな」と不思議だったシーンが、2箇所とも「ファンサービス」シーンだったということ(!)。ひとつは、楳図かずおがうがいをするところ。「これ、かなりの関係者でも、見たことない図だと思いますよ!」。たしかにそうかも知れないが。もうひとつは語学シーン。「TVなどでおなじみとは思うんですけど、五ヶ国語いっぺんに見ることが出来ますからね。完全版ですよ!」。伊藤監督、マニアな視点、ありがとうございます。
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フィルムには映っていない楳図かずお(73歳)の野望 〜トークショーにて発覚〜
それは、一万人で「グワシ!!まことちゃん」を踊ること。そのために、サマーソニック出演の申し込みをし、残念ながら落選?したとか。ギャル的に言うと「マジウケるんですけど!」。Kとふたりして帰り道。「すごいね!」「ほんとに野望だけどね!」興奮気味に称え合う。「でもさー、叶えてあげりゃあいいじゃんねえ。死んでから偉大さを称えるよりも、生きてるうちにいっしょに踊るほうがずっといいもん」。微妙に失礼です、わたし。「でもさー、サマソニは無謀じゃない?フジならすぐに出られるんじゃない?いろんなステージがあるんでしょ?」「うーん、夢は、一万人だから」「あ、そうか。小さいステージじゃ、一万人にならないんだ‥。だからサマソニねらいなんだ‥」。‥さすがのKも、野望にふるえている様子。「さすがだな‥。でも‥。科学技術館でさえ満員になってないのにいきなりサマソニっていうのはどうなんだろう。まずフジで場数を踏みつつ話題作りをして、サマソニはそのあと‥」。「そんな悠長なことやってる時間があると思う?」だから失礼ですってば。わたし。もし、KAZZがサマソニに出演することになったら、夏フェス未体験のわたしも、覚悟を決めて出陣いたします。

*1:初日に出かけたのは、この日を逃すとKと一緒に観に行けるのが3週間後くらいまでなかったからです。熱烈に好きってわけではないです念のため