没後5年 宮脇俊三と鉄道紀行展 @世田谷文学館

先日の「ダージリン急行」に鉄道愛が見当たらずさびしくなったので、鉄道愛を求めて世田谷文学館へ。といってもわたし自身は、かわいい電車はかわいいよねと思う程度で、特に鉄道ファンではない。どちらかというと鉄道ファンファン(発音ややこしい)。鉄道愛ある人が撮影した電車は素敵だなあ、その鉄フィルターって愛だよね、とか、そんなかんじ。予想どおり、館内は鉄道ファンと鉄道愛であふれていたのでした。
宮脇俊三という名前は、春にこの展覧会ポスターで知ったばかりで、ようするに未知の存在だったのだけど。 入ってすぐの、紀行文心得(作者が楽しんで書くのではなく、読む人が楽しんで読めるように感情はなるべく抑えて書く、みたいな)の真っ当さに素敵と思い(この視点は、宮脇さんが編集者であったせいかしら)、年譜のユニークさ‥鉄道ファンとしての経歴のところがあまりにおもしろくて、一気に好きになった。会社の仕事がきつくてつらくて、時刻表をながめて気持ちを落ち着かせる、とか。そう、宮脇さんは鉄道ファン*1のなかでも、時刻表ファンなのであった*2。なにそれ。この人おもしろすぎる。加えて鉄道文学の先駆者として、内田百けん阿房列車コーナーがあった日には。そりゃあ機嫌もよくなるでしょう。にこにこしながら観た。和やかでピースフルで、遊び心にあふれていて、実に素敵な展覧会でした。「書いた本も読みたいな‥」と思っていたら、さいご休憩コーナーみたいな一画に、どーんと著書が置いてあって。しかも、椅子が昔のボックスシートみたいなやつで!キャーたのしい!背もたれが木で、座り心地がよいとはいえないけれど、しみじみした味わいがイイネエ‥(シートをなでなで)。しかも、車窓に見立てた場所で電車DVDを上映するという心憎い演出!素敵ー。(でも車窓大好きなわたしは、こういう状態だと本読むどころじゃなく‥DVD見入っちゃうんだよねえ) 展示を見る集中力が切れたら、列車の窓をながめて休憩‥という贅沢を何度か繰り返し。タノシイナア。世田谷文学館の心遣いに感謝。
鉄道愛に満足しながらも、かわいい電車の姿はあんまりなかったなーと若干の思い残しを持って展示室をでて、別室の鉄道模型運転会をのぞくと。見たこともないまあるいフォルム。のこのこのんきな路面電車の写真が‥!今まで知らなかったけど、玉電→☆)ってかわいいねえ。かわいい電車への渇望はここで満たされ、すっかりご機嫌になるのでした。めでたし!
(唯一物足りなかったのは、買おうとした宮脇俊三の処女作「時刻表2万キロ」が売店に置いてなかったこと)(でも関連本として、「内田百間―イヤダカラ、イヤダの流儀 (別冊太陽)」があってウヒャーてなった。ウヒャーてなりながら、もちろん買った)(置いてある「阿房列車」は、もちろん新潮文庫版。ワカッテラッシャル‥!てか文豪グッズ(→☆)、そのうちゼッタイヒャッケン先生Tシャツ作るでしょ!わたし信じてる‥!←てかシール買い損ねたの未だ悔やんでる)(写真は展覧会チケット。‥‥。世田谷文学館のスタッフに、鉄分たかい人がいるんだきっと‥)(自分メモ:芦花公園から荻窪まで、バスで30分カカラズ。210円。便利←なぜ電車を使わんのだ)

*1:鉄道マニアと書くべきなのか?キーワード見たら、底が深すぎてどうしたらいいのかわからなくなった。鉄道文学と鉄道紀行の違いとかさ‥

*2:そういえばわたしが入社したばかりの頃、会社に定年まじかのおばさまがいた(もういない)。もっさり大人しいかんじで、特に接触はなかったけれど、なぜかわたしはほのかな好感を持っていた。おばさんは完全に一人の部屋で仕事をしていて、大部分が謎に包まれていたが、「いつも時刻表を読んでいるんだけど内職でもしてるんじゃないか」と噂が立っていた。わたしも「フーンそうなのかな」なんて思っていたけれど。もしかしてただの純粋な時刻表ファンだったのではないかと今、気付く