SELF AND OTHERS(2001)


火曜日ユーロスペースでレイトショー。佐藤真監督回顧特集。
この映画を見るのは二回目。今年の2月に「SELF AND OTHERS」の写真展を見て、映画も再見したいと思い焦がれていたのでうれしい。
牛腸茂雄の「SELF AND OTHERS」という写真集は独特。写真集を見ているわたし。写真集から見られているわたし。‥見ているのも見られているのはわたしじゃない。この写真をとった牛腸茂雄だ。いろいろなまなざしが乱反射して、自分の居場所がわからなくなる。足元ががくんと落ちるような、奇妙な感覚におそわれる。たしかに存在する(した)がゆえの、不確かさ。この映画は、そんな牛腸茂雄の居た場所を、なぞるように、牛腸の撮影した映像や、しゃべる音声(この声!)をまじえて再構築する。やはり足元がぐらぐらする。奇妙な喪失感。なにを失ったのだろう。かわりになにかを手に入れたのだろうか。わからない。映画が終わり、スクリーンに拍手をする人数名。「なにこの映画。わけわかんねー」としゃべりながら席を立つ若者数名。ふふふどちらの感想にも、共感できるなあ。ぼんやりと、でも自分の輪郭を意識しながら帰った。