GSワンダーランドトークショー @阿佐ヶ谷Loft A

サエキけんぞうのコアトークvol.78 GS最前線:徹底解明!傑作映画『GSワンダーランド』〜日曜は昼からGSだ!〜
本田隆一(監督)/サリー久保田(音楽担当exファントム・ギフト)/高浪敬太郎(主題歌編曲担当exピチカート・ファイヴ ←病欠 :サミー前田 / 司会:サエキけんぞう/大森眸

このトークショーに行くにあたって、前日の29日にKと「GSワンダーランド」を再(々)見したのだけれど。さすが29日なのか*1、そこそこ観客数があり*2、映画中あちこちから笑い声が聞こえてきてよかった。コメディ映画はこうじゃなくっちゃ!
ちなみにKは「おもしろかったね!宮崎あおい*3の旦那(高岡蒼甫)、歌うまいねー!」と言ったきり、ずっと「海岸線のホテル」をくちずさみ、詳しい感想は聞けなかった*4。じゅうぶんすぎるほど楽しんでいるね‥(めまい)。さらにはトークショー時にシングルを購入する始末。満喫しすぎだって。

海岸線のホテル(DVD付)

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トークショーの開始時間を間違えていて、はじめのほう聞けてないのでたたみます。

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ほんとにもう。たぶん最初のほうで、GSに対する思いを語ったのではないかなァ。後悔百万年。たのしみにしてたのに‥。
そんななか、一番印象的だったのは。映画のなかで流れる、必殺ポップチューン「海岸線のホテル」は橋本淳作詩/筒美京平作曲というゴールデンコンビに、「68年のオックスを意識したグループサウンズで」と依頼したらしいのだけれど(そして実際どう聴いてもそういうポップチューンなんだけど)。出来上がった段階では、ミディアムスローのきれいな曲で、「いい曲だけど、この映画の主題歌としてはどうだろう‥」と緊急会議を開くかんじだったとか。「しかも曲をもらったとき、“アレンジはミスチルみたいにお願いします”って言われたんだよね‥(サリー久保田)」「ははは。それって筒井さんのなかで、現代のGSっていえばミスチルってことじゃないの?(サエキけんぞう)」「まあミスチルはバンドだからGSって言ってもあながち間違いではないよね(サエキけんぞう)」「で実際どうだったの?ミスチルみたいな曲だったの?」「ミスチルっていうよりバンプオブチキンみたいだった(サリー久保田)」。
このあいだ、「現代でGSはなににあたるのか?」と考えていたわたしはおおいに納得。ふつうにバンドってことか。じゃあもしわたしがその時代にいたとしたら、GSのなかから気が合いそうなものを選んで楽しんでいたかしらん。
(その後「海岸線のホテル」は決死のアレンジ(というかテンポアップ)により、必殺ポップチューンに生まれ変わったそうです。めでたし!)

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「飛び出せ!オックス!」という映像を見た。監督はこの映像を、映画を撮り終わってから見て愕然としたらしいのだけれど。映像のなか、浅草のどこだかで行われたワンマンリサイタルの様子が紹介されるのだけれど、メンバーひとりひとりのおたのしみコーナーのなか(こういうの、今もジャニーズのライブなどであるらしいですね)、赤松愛(オックスのフロントマン。美少年と名高く、「GSワンダーランド」のミックのモデルと言われています)は、「牛若丸」(!)、ほかのメンバーも「人生劇場」など、およそロックらしからぬ芸(?)を披露していた。映画のなかでは、タイツメンというバンドが、GSで民謡に挑まされるのだけれど。当時監督が考えた、もっともかっこ悪いものがハッピでタイツでGSで、だったらしいのだけれど。「現実のほうがはるかに上回っていたっていうね‥」。
実際オックスなどは人気があったためファン層が小学生にまで広がり、その結果PTAの監視の目が厳しく、子供にも安心して見せられるプログラム作りが要求されていたとか。
「それにしても牛若丸。時代劇って‥」「いや、当時はNHKで子供向け時代劇が放送されたりして、牛若丸といえば花形でしたよ(サエキさん)」。マジすか‥。

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それにしても赤松愛、みんなが「可愛い可愛い」と絶賛するけど、そんなに可愛いか?サエキさんなんてうっすら恋心を抱くほど可愛いと言っていたが‥。たしかにすごい華奢でオンナノコみたいだけれど、可愛いオンナノコではないよねえ。この頃はこれが精一杯だったの?(ちなみに外見の可愛らしさとはうらはらに、喧嘩っ早かったり、内面は男らしいんだそうです。男色の噂もまったくなかったとか)
でもオックス、今まで馬鹿にしてたけど、ボーカルのシャウト&失神(?)*5を見たら心が動いた。すごい奇天烈!あそこまでされたら認めるしかないわー。CDはいらないけどDVD欲しいかも。

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歌のゲストとして田渕純(中学生時代から黒沢進と文通していたという青年。20代にしてマヒナスターズに加入したという青年*6。濃い。でも本人はぽーっとしている)がやってきた。なんだかものすごいカルマを感じた。長いあいだ見ていたら応援したくなってしまうと思って用心して、極力見ないようにした。こわいよ中央線カルチャー。

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中央線カルチャーといえば。映画のなかの楽器は極力!当時のものを使用するようにしていて、楽器の調達やひとつひとつに保険をかけるのがたいへんだったとか。そのときだいぶ役に立ったのは高円寺のなんとかという店(の客)だとか(あと京都のナントカ。京都も業がふかそうだよね‥)。あと、サリー久保田私物。

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「ファズを入れる場面で映画が始まるのがすごい感動した」というお客さんに「そこ!よく気付いてくれました!」と感激する本田監督。自分にとってGSといえばファズギターなので、ぜひそこから始めたかったとか。「そこ、きっと百人の見て気付いてくれるのは2・3人だと思うんですけど!うれしいです!」

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遅刻したことが悔やまれるたのしいトークショーでした。わたしとしては本田監督にすごく面白かったです!と伝えられたので満足。ごく一部の人しか観ないけれど、観た人はみな熱い思いを胸に抱く、それがGSワンダーランド。

*1:29日は池袋の映画デーなので、池袋マガジン「buku」を持参すれば誰でも千円均一になる。もっともシネ・リーブル池袋での上映はレイトショーだけになってしまったので連日1200円だけどね

*2:30〜40人!今まで10数人だったからさ‥

*3:Kは宮崎あおいファン。でもこのあいだの「トップランナー」を見て、「しっかり者すぎる‥。そういえば俺は宮崎あおいのインタビューを読むたびに、その正しいひたむきな向上心になじめないものを感じるんだ‥」とこぼしていてちょっとおかしかった。たしかにもう凡人の応援を必要としない高みに行ってしまっているよね

*4:わたしはあらためて、栗山千明の男装「ミック」のかわいさに感動。どう見ても男には見えないんだけど、かといって女にも見えない不思議なイキモノの魅力を発散させている。あと、4人の住むアパートの室内にタイツがほしてあるところとか、やっぱ好きだなあ。音楽に対する情熱の見えなさについては、GSが相手じゃ、GSを本気でやりたがる男性心理なんてうまく理由づけ出来ないよねえハハハと、そこもおかしく観ました

*5:失神ということになっているみたいだけれど、どう見ても肩で息してるから失神ではナイヨネ‥(サエキさん談)

*6:マヒナスターズに加入した、と本人から聞いた人は、ついに狂ったかと思ったという‥