堀内誠一 旅と絵本とデザインと @世田谷文学館

雑誌のアート・ディレクターとして、また、絵本作家として、多彩な創作活動を繰り広げた堀内誠一。本展では、幼少期から晩年に至るまでの足跡をたどり、「旅」・「絵本」・「デザイン」の3領域にわたる創作活動の全容を、約200点の作品・資料によってご紹介します。(→HP

絵本についての展示が見たくて行ったのだけど、「デザイン」→「絵本」→「旅」の順によかった。この順番て展示順路そのまんまなんだけど‥。ただのわたしの集中力の問題ではないでしょうね(若干不安)(いや、絵本コーナーは展示数が控えめだったから肩透かし感があったんだきっと)。
なにしろデザインの。洒脱さがすごかった。昔のアンアンおしゃれすぎる。洗練されながら冷たくないのがすごくいい。美しさで元気でる。雑誌にパワーがあった時代。雑誌が先細りになるとこいういうデザインを継承することもなくなっちゃうのかなあ。そのぶんウェブデザインが洗練されていくんだろうか。デザインのことはよくわからないけれど、元気をくれる美しいものを近くに置くことは大事だよな。子供には美しい絵本、大人には洒落た雑誌や麗しい装丁の本を(堀内氏は装丁も手がけています。上品さは溜息もの。しかもお洒落どころ(?)を手がけていてなにもかもさすがなの)。
マガジンハウスは堀内氏ぬきには成り立たなかったのでは。と思うほどさまざまな雑誌に関わった堀内氏。雑誌タイトルの群れは圧巻!そんな流れで世田谷文学館のトイレ表示はこんなかんじ。オリーブ!

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たのしみにしていた「絵本の仕事」コーナー。なかでもいちばん期待していた「マザーグースのうた」(子供の頃この本だいだいだい好きだった。当時は絵は外国の人が描いたんだと信じて疑わなかったよ)の挿絵は、素晴らしいながらも4点しかなくって残念。まあハンプティダンプティが拝めたからいいんだけど。はじめて見る「くるみわりにんぎょう」の色彩のまばゆさにうっとり。そのあと絵本を見たら、きれいだけれど原画の深さがぜんぜん出てなくって歯がゆくなったのだけど、ここまでしか出ないからこそあのテンションで描かなくてはいけないんだ?と思い直して深く感心。いつ見ても笑顔になっちゃう「ぐるんぱのようちえん」は、会期中作品の入れ替えをするらしいので、見たい場面がはっきりしている人は、事前に問い合わせたほうがよいかも。

くるみわりにんぎょう

くるみわりにんぎょう

ぐるんぱのようちえん

ぐるんぱのようちえん

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旅のコーナーはあまり好みじゃなかったので(精神力を使い果たしただけかも)、写真とかおみやげをアツく眺めて過ぎた。
(2F企画展内の休憩コーナーで絵本が見られます。1F図書室では関わった書籍が読めます。お時間のある方はぜひ、こちらも。わたしは絵本史の本(前々から欲しいと思っているけれど7千円×2冊はなかなか思い切れない。大きいので置き場所も悩ましいしさ‥)を「イイナア‥」てながめてきました)*1
(ちなみにこの展覧会のパンフレットのような本が出ています。興味のある方はどうぞ)

堀内誠一 (コロナ・ブックス)

堀内誠一 (コロナ・ブックス)

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美しいものばかりを見ていると、そうでないものを見たときに悲しくなる割合が大きくなるような気がしていたけれど、そうではなくて、美しくないもののなかにもそれなりの美しさや面白みを受け止められるようになりたいし、なるべきだな、と唐突に思った。美しさに背筋を伸ばしつつ、生きるたのしみにあふれた展覧会だった。

*1:この本、1984年の発行なのだけど、その頃はまだあまり注目されていなかった茂田井武をかなりのページをさいて紹介していてさすがです。横井弘三も!見る方は見てるのだなあ‥。やはりこの本買うべきだろうか。などと思いつつ、やっぱり値段と大きさに思い切れず