UMEZZ!カーニバル'09 @科学技術館・サイエンスホール

あまりに世の中に訃報がつづくので、「生きているうちにあの人にきちんと愛を伝えたい」。神妙なきもちになり、でかけてまいりました。
「熱狂!楳図カーニバル」(→☆)。(失礼ですか)

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結論から言うと、そんな心配まだ早い。楳図先生はとってもお元気。それこそ、死ぬほどに、元気。まだまだわたしたちを楽しませてくれることでしょう。
たのしかったので来年も行きたい。年中行事にしたい。画像が多く重いのでたたみます。
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前売りチケットを買ったものの、整理番号がないのら。色々はかりかね、開場と同時に入場。開演までの1時間、どうやってつぶそう。心配するなかれ、ロビーのあちこちで、すでに祭りは始まっている。
 
(入場時いただいたグッズたち)
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その1)物販。恐怖!あれこれ欲しくなっちゃう!
こんなときこそ冷静に、「使えそうなもの」しか買っちゃダメだ自分。そんなに家に「もったいなくて使えないグッズ」をためちゃダメなのら‥。というわけで手堅く、楳図ハウスのキーチェーン購入。そうさ、猫目てぬぐいは、すでに持っているのさ(もったいなくて使えずに、飾ってあるのさ)。空クジなしの福引をひいたら、3等のピョンコちゃんフィギアが当たった。生まれてハジメテ福引で、鐘を鳴らされた。ピョンコちゃん。‥これをどうしろと?(末等のまこと虫人形がよかった‥)

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その2)写真展。恐怖!見入っちゃう!!
楳図先生ったら、なんてフォトジェニックなのら。どの写真からも強く感じるのが、ライブ感というか「生きている感」。どの写真も格好よかった!デジカメの残り容量が気になったため、特に気に入ったものだけフィルムに納める。

蜷川実花撮影の楳図ハウスの写真集が今月末に発売されるらしいのだけど。‥欲しいかも。

(ハウスなしの楳図かずお写真集でもよくってよ)
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その3)楳図秘法館。恐怖!テンションあがりまくり!

 

開演まえにはしゃぎすぎた。
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そんなこんなで開演。楳図先生ご本人から、なんと写真撮影のお許しが。
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まず第1部は金子デメリンをまじえてトークショー(司会は木原浩勝氏。楽しそうにイキイキしきる姿が爽やか)。
漫画家楳図かずおの貸し本漫画家時代の思い出。
2005年にデビュー50周年なんていっていて、「楳図かずおって何歳よ‥」とおそれおののき震えたのだけど、デビューがすっごく早かったのね。14歳で漫画を描きだして、16歳でデビューですって(1955年は、単行本が出た年らしい。貸本時代なのでデビューの概念が今と違うのか)。

「14歳のときに漫画を描き始め、最後に描いた漫画は‘14歳’。14歳に縁があるのら!」。こんな口調ではなかったが。
「早熟ですよね、すごく好調なスタート」。と言うデメリンさんに、「でも自分がやっていることは、1たす1たす1たす‥って1つ1つ積み重ねた結果が5なり10になっただけであって、いきなり宝クジに当たってドーンというのは1回もなかったから‥。どうせなら宝クジドーンの人生がいいのに」。
ちなみにデビュー作にあたる「森の兄妹」は、今で言う漫画サークル?のようなもので知り合った上級生らと、計3人の合作になるのですが。‥そのとき合作した残りのお二人は、すでにこの世を去られたそうです。合掌‥。

貸し本漫画家時代の思い出のひとつとして、轢死体に遭遇したときのエピソード。
道(線路?)を歩いていたら人だかりがあって(轢死体)‥。
「そばに靴が揃えて脱いであって。自殺ですね。上半身だけころがっていて、下半身はどこだと思ったら、遠くに4ツくらいの肉団子状のものが。‥血ってあんまり出ないんですね」。「映画とかの印象だと、とにかく血が出るじゃないですか。実際はそんなに出ない」。「それで、その轢死体の顔を見たら、毎年お正月にやってくる獅子舞の人でね。‥あんなおめでたいことを生業にしながらも不幸だったんだなあ、って‥」。
「はじめはこわかったんだけど、目が慣れてきたので、今度は、周囲の人たちの様子を観察しはじめたんです。どんな人たちが見てるのかな?って。人垣の後ろのほうにいるのは大人の男でしたね。それで一番まえにしゃがんでいるのは、女学生たちでしたよ。やっぱり女の人はこわいものが好きなんだ、って確信しました」。思わぬところから、恐怖漫画家のはじめの一歩が。

日常生活で突然死体に出会うとびっくりしますよね、とデメリンさん。デメリンさんは溺死体に遭遇したことがあるそうです。ちなみに楳図先生が轢死体に出会ったのは2回。2回目は、今年のお正月、正月も正月、元旦だそうです。「うわー、正月早々‥。そう思いましたねー」。(どうでもいいけれど楳図先生のしゃべりかた、さかなクンに似てますな。ピュアなソウルが共通項か)
なぜか「2回だけですか‥?」とじりじりせまるデメリンさん。「ええ、2回。でも2度あることは3度あるっていうから、もう1度見るかも。次はあなたの轢死体かも知れないー」。「‥。やめてくださいよ」。クールに微笑むデメリンさん。デメリンさん、おもしろい。
少女漫画・少年漫画のジャンル分けというか絵柄の書き分けについて、「そんなことで悩むのは、画力がないから」とばっさりしたのが天才ぽくて可笑しかった。
気が付けば長い時間が過ぎていた。入場時に配られたプログラムの時間を約1時間過ぎている。エ‥?1時間‥?
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休憩をはさんで、ゲキメーション猫目小僧。最終回の上映。

うっすらと存在を知っていた程度のこのゲキメーション。放送されたの1976年なのか。アナクロさから見て、60年代の作品かと思ったのら‥。紙芝居のようなアニメ(猫目くん以外のキャラが完全に楳図かずおの絵柄じゃないのがなんともいえない)に、一部実写をあわせたゲキメーション。これ、すごい好み。手前の木の枝だけが実写とか、水面だけ実写とか、妙におどろおどろしくて味わい深い。DVD化したら買いたい。

最終回は、生き別れになっていたお母さんにめぐりあえるという、まさかの涙のハッピーエンド。なのら。猫目くーん!よかったねえええ。

(そういえばゲキメーションの上映前に、主題歌を歌っている堀江美都子さんからビデオレターが届いたのら)
ゲキメーション後には、楳図先生のボーカルによる「猫目小僧」披露。「猫目小僧の主題歌にはカラオケがないから、いつも歌入りの主題歌の上に歌っているのら!今日は生ギターで歌うのら!ギョエー!」。だからこんな口調はしてませんってば。
 
パンチ中。 チョップ中。(猫目小僧 歌詞→☆
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再び休憩をはさんで、次のトークショーはもう20年のおつきあいになる近田春夫氏を招いて。音楽家、おもに作詞家としての楳図ワールドについて。
ちなみにお二人の交際のきっかけは、「まことちゃん」に近田氏が登場したことだそう。「或る日漫画を読んでたら、自分が出てきたのでびっくりした」。びっくりするわ、そりゃ。当時、漫画の中に実在のミュージシャンが出るのはほんとに稀だったそう。「というか、ハジメテだったんじゃないですかね」。

なぜ突然近田氏が登場したかというと、ある日、自分は音楽に興味があるのにロックというものを見たことがないぞ!ロックが見たいぞ!見に行くのら!と思った楳図先生が見つけてきたのが、読売ランド?の近田春夫ライブだったそうで。
「漫画に登場させたのは、近田さんと、そのとき一緒に出てたクールス。あと、仕事でつながりのあったイルカ。でもこのなかで僕が自発的に動いたのは近田さんだから!」。「それにしても、先生、さきほどからかなり‥シンプルな理由なんですね」。「うん。感覚的っていうか」。
ともかくそんなこんなで交際が始まって。どちらもいまだに第一線で活躍してるのがすごい。

近田さんが絶賛していた郷ひろみに書いた「寒い夜明け」(→☆)聴きたい。当時アイドル、しかも郷ひろみがこんな寂しげな歌を歌うなんて画期的だった、という近田さんの言葉に、「筒井さんのメロディが先にあったし、今までのイメージと違うことをしたいという要望があったからああなったけれど‥。ほんとは、「花とミツバチ」みたいな世界が書きたかった」と楳図先生。今からでもその路線でぜひ書いてほしい‥。

近田さんに書かれた「エレクトリック・ラブ・ストーリー」(→☆)について、近田さんは、「歌を歌うときに見える景色って、ひとつの歌だとだいたいひとつの同じようなイメージ‥なんだけど。この歌は、歌うたびに思いがけない景色が見えて、‥とらえどころのなさというか、イマジネーションの広がりがすごいなと」。絶賛ついでに歌詞中の「ジョージの噂話」について聞かれた楳図先生は、「どう受け取ってくれてもいいけど‥。自分のなかでは吉祥寺の噂話‥。住んでるからさ」。「ほんとちょいちょい、シンプルというか、素のまんまって回答出しますよね。‥聞かなきゃよかった」。と近田さん。グワシ。
トークは盛り上がったものの、押してしまった時間がたたり、あっというまに幕。えええー、もっとお話聞きたかったよう。
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しかしこの後はこの日のメイン・イベント。歌って踊る73歳・楳図先生を拝むのらー!(‥まことちゃんの口調ってこれでいいのかしら。なんかだんだん自信なくなってきたわ)

歌は、ご存知!「グワシ!!まことちゃん」!なのら。(グワシ!!まことちゃんの歌詞が見付からないのら‥。しょぼん ギョエー)



拝んで拝んで。

歌って踊って息切れひとつ見せない楳図先生(&デメリンさん)*1。健脚?の秘密を聞かれた楳図先生は、「コンバース!動きやすいのらー!」。

拝んだあとは、客席参加。踊って踊って。入場時配られたうちわの裏に振り付けが書いてあるのだけど、これがすごい高度な振り付け。どうなることかと思ったけれど、楳図先生の判断によりしごくシンプルな振り付けに変更。ほっとしたのら‥。
踊ったあとは、楳図先生にバースデープレゼントを渡すコーナー。しまったー!手ぶらで来ちまったのらー。

最後は、楳図先生からお客さんへのプレゼントコーナー。びみょうな豪華景品がたくさん!見事にサイン色紙をゲットした11歳の女の子の、好きな楳図作品は「へびおばさん」*2。好きな場面は「おばさんが蛇になるところ」。シンプルイズベスト!


神の手を持つ楳図先生は、最後にやってくれました。一等?の商品、ジャンボまことちゃん人形とサイン色紙は、整理番号1番の女子のところへ!「この人たち、朝9:30にはもう並んでいたんですよ!●●でしょ!(木原さん)」。すげー!「くだらないことでも、努力は報われるんです!」。なんだろう、この大団円。でもヨカッタネー(キラキラ‥)*3

気が付けば、終演予定時間をおよそ1時間過ぎて、幕。充実してたわー。おっと、してたのらー。グワシ。来年も行くのらー!

*1:ピンクのまこと虫。つねに真顔なのがさすがすぎる

*2:わたしだったらなんて答えるかしら。「絶食」かしら。好きな場面はもちろんラストの「食べていたのです」。

*3:我が家には楳図先生のサイン色紙がすでにあるので、あらそう気はないのらー。うっすらした自慢でしたのら。ちえ