あの娘が海辺で踊ってる(2012) @ポレポレ東中野


予告(↑)で劇場に足を運ばなきゃ!と決意させ、小1時間の上映時間中何度も心を揺さぶられ、観終わって声が漏れるような、とても力を持った映画でした。

物語はとても普遍的な少女の成長譚。いつまでも続きたいと祈っては、でも続かないだろうと覚悟していた季節の終わるさまが、愛くるしいデフォルメとひりひりするリアルで綴られます。このリアルは監督が20歳の現役大学生(専攻は哲学だそうです)というのが大きいのだろうな。切実な思いがこの映画を支えているのでしょう。デフォルメはあるけれど嘘はないんだもん。ひりひり愛しいむきだしの映画。
目の前にせりあがる海、星に届きそうな歩道橋、絵画のような夕焼けなど、舞台となる熱海の風景の切り取り方もよかった。美しくも不安定なわたしの見る世界。信頼できるよ。誉めすぎですか。初見のときは、素人ぽくあちこちが荒いなと感じたのだけど、二回目には、この荒さがこの映画のビビットだと理解してしまったんだもん。

小さな映画館の充分とは言えない宣伝。しかもレイトショーなのに、二回観た二回ともが補助席を出すも満席になっていて、その熱気もうれしかった。「処女の革命」(→☆)の名前どおりだよ!革命だよ事件だよ。「さよならあの娘」(↑うえに貼った予告編はその一部)のおもしろいことみんな詰め込むよって気概にも胸をうたれた。思い出してもほんとうによいものを観た(しばし放心)。
映画で使われる富山優子さんの音楽が素敵で*1(富山さんは「さよならあの娘」の劇中での軽やかな身のこなしにも感動させられた。もりもり楽しそうに鍵盤はじくところも)CD買ってしまった。こういうのってほんとにいいなあ。

僕らの時代

僕らの時代

  • アーティスト:富山優子
  • 出版社/メーカー: TOMMY Records
  • 発売日: 2011/04/15
  • メディア: CD

*1:最後に流れる舞子ちゃんの歌サイコウ。握りこぶしで。